法改正対応

育児・介護休業法改正とフリーランス法対応|企業法務・人事担当者向け実務チェック
人事・労務/業務委託管理

育児・介護休業法改正と
フリーランス法対応

2025年から2026年にかけて、人事労務・業務委託管理に関する実務対応が重要になっています。本記事では、育児・介護休業法改正とフリーランス・事業者間取引適正化等法について、企業担当者が自社への影響を判断しやすいように整理します。

更新日:2026年5月20日 / 弁護士 坂東利国(東京エクセル法律事務所) / ※本記事は情報提供を目的とするものであり、法的助言ではありません
ご留意ください本記事は、法改正に関する一般的な情報提供を目的とするものであり、個別事案に対する法的助言を行うものではありません。
実際の法適用や必要な対応は、業種、企業規模、就業規則、契約内容、運用実態等によって異なる場合があります。
具体的な実務対応については、顧問弁護士、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

既に公表した「2026年 法改正動向レポート」では、取適法、個人情報保護法・AI、カスタマーハラスメント対策、公益通報者保護法改正など、企業横断的に影響の大きいテーマを整理しました。

本記事では、その補足として、特に人事・労務管理業務委託・外部人材活用に関係する2つのテーマを取り上げます。

テーマ主な影響特に確認すべき企業
育児・介護休業法改正個別周知・意向確認、柔軟な働き方措置、介護離職防止、育児休業取得状況の公表対象拡大従業員を雇用する全企業。特に、シフト勤務・長時間労働・多拠点展開企業
フリーランス法対応取引条件明示、報酬支払期限、ハラスメント対策、中途解除等の予告・理由開示個人事業主・講師・IT人材・デザイナー等に業務委託する企業
人事・労務管理への影響
1
✔ 段階施行済
育児・介護休業法改正
(柔軟な働き方・介護離職防止・個別周知の強化)
改正の概要

育児・介護休業法改正により、男女ともに仕事と育児・介護を両立しやすくするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置、介護離職防止のための制度周知・意向確認、育児休業取得状況の公表対象拡大などが段階的に施行されています。

2025年4月施行の主な内容

  • 子の看護休暇の見直し(対象・取得理由の拡大等)
  • 所定外労働の制限の対象拡大
  • 育児休業取得状況の公表義務の対象拡大
  • 介護離職防止のための個別周知・意向確認等の義務化

2025年10月施行の主な内容

  • 3歳から小学校就学前の子を養育する労働者について、柔軟な働き方を実現するための措置(複数の選択肢から選択可能な措置)を事業主が用意
  • 措置の個別周知・制度利用の意向確認
  • 妊娠・出産申出時等における仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取(義務)・配慮(配慮義務)
実務上のポイント制度を就業規則に記載するだけでは足りません。対象者への個別周知、意向確認、管理職の理解、実際に制度を利用しやすい職場運用が重要です。
特に影響が大きい業種・企業

🔴 強く影響

運送医療法人薬局資格・教育情報処理・システム開発

🟡 影響可能性あり

公益法人スポーツ競技連盟士業事務所全国展開企業
刺さりやすい企業シフト勤務、慢性的な人手不足、長時間労働、管理職依存、多拠点展開、テレワーク運用が属人的な企業では、制度対応が実務トラブル化しやすいです。
まず確認したい事項
  • 育児介護休業規程・就業規則の改訂状況
  • 個別周知・意向確認の運用フロー
  • 管理職が制度内容を理解しているか
  • 介護離職防止のための相談・周知体制
  • テレワーク・時差出勤・短時間勤務等の運用基準
  • 制度利用者の業務引継ぎ・代替要員確保の仕組み
実務上問題になりやすい場面「制度はあるが、使いにくい」「上司が制度利用を歓迎しない」「介護の相談があったのに制度案内をしていない」といったケースは、労務トラブルに発展しやすいです。
業務委託・外部人材活用への影響
2
✔ 施行済
フリーランス・事業者間取引適正化等法
(取引条件明示・支払期限・ハラスメント対策)
法律の概要

フリーランス・事業者間取引適正化等法は、個人で働くフリーランス(従業員を使用しない事業者。法律上の「特定受託事業者」。一人で業務を行う法人を含む)に業務委託を行う発注事業者に対し、取引条件の明示、報酬支払期限、募集情報の的確表示、育児介護等と業務の両立への配慮、ハラスメント対策、(6か月以上の継続的取引における)中途解除等の事前予告・理由開示などを求める法律です。

※発注事業者の資本金規模、委託期間、継続的取引該当性等により、適用される義務内容が異なる場合があります。

取引適正化に関する主な義務

  • 業務委託時の取引条件を書面または電磁的方法で明示
  • 給付受領日から原則60日以内の報酬支払
  • 継続的取引における受領拒否・報酬減額・返品等の禁止
  • 不当な給付内容変更・やり直し要求の禁止

就業環境整備に関する主な義務

  • 募集情報の的確表示
  • 育児介護等と業務の両立への配慮
  • ハラスメント防止方針の周知・相談体制整備
  • (6か月以上の継続的取引における)中途解除等の事前予告・理由開示
実務上のポイント「社員ではないから労務管理の対象外」と考えるのは危険です。フリーランス法では、取引条件だけでなく、ハラスメント対策や中途解除時の手続も問題になります。
特に影響が大きい業種・企業

🔴 強く影響

情報処理・システム開発資格・教育コンサルティング通信販売

🟡 影響可能性あり

士業事務所スポーツ競技連盟公益法人不動産
IT・教育系での注意個人事業主エンジニア、講師、デザイナー、ライター、SNS運用者、コンサルタント等への委託では、取引条件明示と支払期限管理が特に重要です。
まず確認したい事項
  • 個人事業主・一人法人(従業員を使用しない法人)への業務委託の有無
  • 取引条件明示書・業務委託契約書の整備状況
  • 報酬支払期限の管理フロー
  • 継続的取引における禁止行為リスク
  • フリーランス向けハラスメント防止方針の周知・相談体制整備
  • (6か月以上の継続的取引において)中途解除・契約不更新時の事前予告・理由開示対応
労働者性リスクにも注意常駐型、専属型、指揮命令が強い業務委託では、フリーランス法だけでなく、労働者性・偽装請負・社会保険・労働時間管理の問題に発展する可能性があります。
3
実務上の共通論点
両テーマに共通する実務リスク
規程・契約だけでは不十分

育児・介護もフリーランス対応も、書式整備だけでは足りません。実際に周知・説明・相談対応・記録保存が行われているかが重要です。

管理職・現場担当者の理解

制度を知らない管理職が、制度利用を抑制する発言をしたり、フリーランスに不適切な対応をしたりするリスクがあります。

証拠化・記録保存

個別周知、意向確認、取引条件明示、中途解除の予告・理由説明などは、後日確認できる形で記録化しておく必要があります。

📚 主な参考資料・一次情報源

※各資料の詳細・最新情報は各省庁の公表情報を直接ご確認ください。本記事は2026年5月20日時点の情報に基づきます。URLは確認時点のものであり、省庁サイトの改修等により変更される場合があります。

1|育児・介護休業法改正2025年4月・10月段階施行

【特設サイト】厚生労働省 育児休業制度特設サイト「法改正のポイント」mhlw.go.jp(育児休業制度特設サイト)
【リーフレット】厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」mhlw.go.jp(PDF)
【制度情報】厚生労働省「育児・介護休業法について」mhlw.go.jp(育児・介護休業法)
【法令条文】e-Gov法令検索「育児・介護休業法」elaws.e-gov.go.jp

2|フリーランス・事業者間取引適正化等法令和5年法律第25号/2024年11月1日施行

【制度情報】厚生労働省「フリーランスとして業務を行う方・発注事業者等の方へ」mhlw.go.jp(フリーランス法)
【特設サイト】公正取引委員会 フリーランス法特設サイトjftc.go.jp(フリーランス法特設サイト)
【ガイドライン】フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインjftc.go.jp(ガイドライン掲載ページ)
【政府広報】フリーランスが安心して働ける環境づくりのための法律gov-online.go.jp(政府広報)
【Q&A等】内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局 フリーランス関係資料cas.go.jp(フリーランス関係資料)
【法令条文】e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」elaws.e-gov.go.jp

📋 対応チェックリスト

各項目をクリックしてチェックを入れながら対応状況を確認できます。

① 育児・介護休業法改正対応2025年4月・10月施行
育児介護休業規程・就業規則を改訂した
個別周知・意向確認の実施フローを整備した
介護離職防止の相談・周知体制を整備した
柔軟な働き方措置の内容を決定し、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見聴取を行った
管理職向けに制度説明・対応研修を実施した
制度利用者の業務引継ぎ・代替要員確保の仕組みを確認した
0 / 6 完了
② フリーランス法対応2024年11月施行済
個人事業主・一人法人(従業員を使用しない法人)への委託先を棚卸しした
取引条件明示書・業務委託契約書を整備した
報酬支払期限の管理フローを確認した
禁止行為(減額・返品・やり直し要求等)の有無を確認した
フリーランス向けハラスメント防止方針の周知・相談体制を整備した
中途解除・契約不更新時の事前予告・理由開示フローを整備した
0 / 6 完了
③ 共通対応継続的に確認
人事・法務・現場責任者の役割分担を整理した
制度説明・取引条件明示・意向確認等の記録保存ルールを定めた
管理職・発注担当者向けの教育を行った
社内規程・契約書式・相談窓口の整合性を確認した
0 / 4 完了

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