
2026年 法改正動向レポート
企業法務・人事担当者が押さえておくべき主要法改正
2026年は取適法・同一労働同一賃金ガイドライン等の改正・カスタマーハラスメント及び求職者等セクシュアルハラスメント対策義務化・公益通報者保護法改正・社会保険・年金制度改正・こども性暴力防止法・個人情報保護法改正・物流効率化法・トラック適正化二法など、企業実務に直結する重要な法改正・制度改正が相次ぎます。経産省AI民事責任手引き、治療と就業の両立支援も含め、業種別の影響と対応チェックリストを整理しました。
詳しい実務対応は、個別記事でも解説しています
本記事は、2026年に企業実務へ影響する主な法改正を一覧できるように整理したものです。 このうち、社内規程・契約書・相談窓口・社内フロー・担当者教育などの具体的対応が特に重要となるテーマについては、個別記事で詳しく解説しています。
まず全体像を確認したい場合は本記事を、具体的な社内対応を検討する場合は各個別記事をご参照ください。
- 施行済1|中小受託取引適正化法(旧・下請法)— 2026年1月施行
- 施行済2|女性活躍推進法改正(男女賃金差・女性管理職比率)— 2026年4月施行
- 公表済3|経産省「AIと民事責任」手引き — 2026年4月公表
- 施行済4|労働安全衛生法改正(フリーランス等の安全衛生対策等)— 2026年4月以降段階施行
- 施行予定ストレスチェック義務対象事業場の拡大 — 2028年4月1日施行
- 施行済5|障害者雇用率引き上げ(2.7%)— 2026年7月施行
- 公布済6|同一労働同一賃金ガイドライン等の改正 — 2026年10月施行・適用
- 成立済7|カスハラ・求職者等セクハラ対策義務化 — 2026年10月施行
- 成立済8|公益通報者保護法改正 — 2026年12月施行予定
- 成立済9|社会保険・年金制度改正 — 2026年以降段階施行
- 成立済10|こども性暴力防止法 — 2026年12月施行予定
- 成立済11|2026年改正個人情報保護法 — 2026年7月成立・公布
- 検討中12|労働基準法制の見直し動向
- 施行済13|保険業法改正 — 2026年6月1日施行
- 施行済14|資金決済法改正 — 2026年6月1日施行
- 施行済15|治療と就業の両立支援 — 2026年4月1日施行
- 施行済16|物流効率化法・トラック適正化二法 — 2026年4月1日施行
2026年は、企業実務に大きな影響を与える法改正が特に集中しています。単なる「形式的な法令遵守」にとどまらず、価格転嫁への適切な対応・AI利用と個人情報管理・ハラスメント対応・委託先管理・サプライチェーン全体の適正化など、「実質的な企業運営」そのものが問われる時代になっています。
本記事では、現時点での状況(施行済・成立済・検討中)を明示した上で、各改正の概要・業種別影響・企業として確認すべき事項を整理します。末尾の対応チェックリストもご活用ください。
いわゆる「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」が大幅改正され、名称が「中小受託取引適正化法(取適法)」に変更されました(令和7年法律第41号)。2026年1月1日以降に発注する対象取引には改正後の規定が適用され、適用範囲・禁止行為・支払方法・執行体制が大きく見直されています。
主な改正内容
- 価格据置行為(一方的な単価据置・協議拒否)への規制強化
- 手形払の禁止:2026年1月1日以降に発注する対象取引では手形払が禁止。電子記録債権・ファクタリング等も、支払期日までに代金相当額を得ることが困難なものは使用不可
- 運送委託が対象取引に追加
- 従業員数基準の導入(資本金逃れ対策)
- 禁止行為の追加・用語変更・執行体制強化
実務上問題になりやすい場面
- 「前年単価を維持」「値上げは認めない」等の発言
- 労務費・原材料費高騰を理由とした価格改定協議の拒否
- 手形払の継続
- 運送会社への燃料費未転嫁・附帯作業の無償要求
強く影響
影響可能性あり
- 発注フロー・単価改定協議ルールの整備
- 価格改定協議の記録保存(メール含む)
- 発注書式の見直し・契約書改訂
- 購買担当者への教育実施
- 取適法対象取引で手形払を廃止し、電子記録債権・ファクタリング等の支払条件も確認する
- (受注側)原価上昇資料の整備・値上げ交渉記録の保存
改正内容と実務上の対応ポイントについては、別ページ「中小受託取引適正化法(旧・下請法)への実務対応」で詳しく解説しています。
2025年6月11日公布の改正法により、常時雇用する労働者が101人以上の企業において、「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の情報公表が義務化されました(従来は301人以上が対象)。なお、法律の有効期限は2036年3月31日まで延長されています。
公表が必須となる項目(企業規模別)
- 101~300人:男女間賃金差異+女性管理職比率+その他14項目から1項目以上(計3項目以上)
- 301人以上:男女間賃金差異+女性管理職比率+「機会の提供」7項目から1項目以上+「両立環境の整備」7項目から1項目以上(計4項目以上)
- 男女間賃金差異は、全労働者・正規雇用労働者・非正規雇用労働者の区分で公表
初回公表のタイミング
- 2026年4月1日以降に終了する最初の事業年度から
- 3月決算企業の場合→2027年3月期の実績を、おおむね2027年6月末までに公表
- 4月決算企業の場合→2026年4月期の実績を、おおむね2026年7月末までに公表
- 施行後最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度開始後おおむね3か月以内に公表
- 常時雇用労働者数の確認(契約社員・パート含む)
- 決算期の確認(初回公表時期の特定)
- 男女別賃金データの収集・算出
- 課長級以上の女性比率の把握
- 「女性の活躍推進企業データベース」への登録準備
- (上場企業)有価証券報告書との数値整合確認
経済産業省が2026年4月9日に公表した本手引きは、AIの使われ方に応じた民事責任の考え方を整理したものです。法的拘束力はありませんが、AI利用に伴うトラブル・訴訟が増加している現状において、企業の実務対応・契約設計・リスク管理の重要な基準となります。2026年7月に成立・公布された改正個人情報保護法(セクション11)と合わせて確認が必要です。
AIの2類型と責任の考え方
- 補助/支援型AI:人間の判断を補助するAI。利用者が最終判断を行うため、利用者の責任が中心。
- 依拠/代替型AI:AIの判断に依存・代替させるAI。開発者・提供者の責任が重くなる方向。
利用の態様に応じて、利用者・開発者・提供者それぞれの責任の所在と範囲が異なります。
特に影響が大きい業種
- AI出力を無確認で採用した場合の利用者責任(依拠型として評価されるリスク)
- AI開発・提供企業における利用規約・免責条項の見直しの必要性
- 医療・法律・財務など専門領域でのAI利用は特に責任リスクが高い
- AI利用を委託先・外注先に任せている場合の管理責任
- AI利用に関する社内ルール・承認フローの整備の必要性
- 自社のAI利用が「補助型」か「依拠型」かを類型整理する
- AI関連契約(利用規約・業務委託契約)の責任条項を見直す
- AI利用の社内承認・確認フローを整備する
- AI出力の最終確認者・責任者を明確にする
- 委託先のAI利用状況を確認・管理する
令和7年法律第33号による改正で、従来は労働者のみを対象としていた安全衛生対策が、同じ場所で働く個人事業者・フリーランスにも拡大されます。フリーランス活用が多い業種への影響が大きいです。
なお、同じ改正法には、労働者数50人未満の事業場へのストレスチェック実施義務の拡大も含まれており、施行日は2028年4月1日に確定しています。また、2026年4月1日からは、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善・作業管理等の労働災害防止措置を講ずることが事業者の努力義務となり、厚生労働省の指針が適用されています。
主な改正内容
- 個人事業者等への安全衛生対策の推進
- ストレスチェック義務対象拡大(50人未満事業場への義務化。2028年4月1日施行)
- 集団分析の実施方法の明確化(2027年4月1日施行):集団分析は引き続き努力義務ですが、「特定の個人を識別することができない方法」で実施することが労働安全衛生規則上明記されます。
- 高年齢者の労働災害防止措置(2026年4月1日から事業者の努力義務)
- 個人ばく露測定の制度化
- 新規化学物質の電子申請義務化
- 一部事業主への健康確保措置
労働者数50人未満の事業場については、これまでストレスチェックの実施が努力義務とされていましたが、2028年4月1日から義務化されます。厚生労働省は、小規模事業場向けの実施マニュアル、概要版、周知資料等を公表しています。なお、ストレスチェック実施結果の労働基準監督署への報告義務は、常時50人以上の事業場に限られています。
また、集団分析は引き続き努力義務ですが、2026年6月30日公布の労働安全衛生規則改正により、2027年4月1日から「特定の個人を識別することができない方法」で実施することが規則上明記されます。50人未満の事業場を有する企業では、実施体制、実施規程、外部委託、個人情報管理、面接指導への連携等を計画的に準備する必要があります。
詳細は、別ページ「ストレスチェック義務対象事業場の拡大」をご参照ください。
特に影響が大きい業種
- 個人事業者・フリーランスが自社の事業場・現場で就業する場面を洗い出す
- 安全衛生に関する周知・教育・連絡体制を確認する
- 業務委託契約書・発注書・作業手順書に安全衛生上の役割分担が反映されているか確認する
- 化学物質・個人ばく露測定・健康確保措置が問題となる業務の有無を確認する
- 労働者数50人未満の事業場がある場合は、ストレスチェック義務化に向けた準備状況を別途確認する
- ストレスチェックの外部委託先、実施規程、個人情報管理、医師面接指導の体制を検討する
民間企業の障害者法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられました。また、雇用率の算定対象となる事業主の範囲も、従業員40.0人以上から37.5人以上に拡大されました(2024年4月からの段階的引き上げの継続)。
- 民間企業の法定雇用率:2.5% → 2.7%
- 対象事業主の範囲:従業員40人以上 → 37.5人以上
- 障害者雇用納付金:常用雇用労働者数が100人を超える事業主で法定雇用率未達成の場合に対象
今すぐ確認したい事項
- 現在の障害者雇用人数の確認
- 2.7%達成に必要な雇用人数の算出
- 採用計画・職場環境整備の見直し
- 常用雇用労働者数が100人を超える場合は、雇用納付金の影響を試算する
(パートタイム・有期雇用・派遣労働者の待遇改善)
同一労働同一賃金の施行から5年が経過したことを踏まえ、パートタイム・有期雇用労働者及び派遣労働者の更なる待遇改善を図るため、パートタイム・有期雇用労働法施行規則、雇用管理指針及び同一労働同一賃金ガイドライン等が改正されました。改正省令・告示は2026年4月28日に公布され、同年10月1日から施行・適用されます。
主な改正内容
- 雇入れ時の労働条件明示事項の追加:パートタイム・有期雇用労働者が、通常の労働者との待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨を明示
- 賞与・退職手当の記載見直し:待遇の性質・目的と職務内容等の相違を踏まえ、均衡のとれた待遇かを個別に検討
- 各種手当・休暇等の具体例追加:無事故手当、家族手当、住宅手当、病気休職・休暇、夏季冬季休暇、褒賞等について考え方を明確化
- 「正社員人材確保」を理由とする待遇差の考え方を明確化:その目的があることだけで待遇差が当然に合理化されるものではないことを明示
- 「その他の事情」の明確化:職務の成果、能力、経験、合理的な労使慣行等に加え、非正規雇用労働者の意向を十分に考慮せず一方的に待遇を決定した事情も考慮され得ることを明示
- 派遣労働者についても同様の見直し:雇入れ時・派遣時の明示事項やガイドラインの記載を改正
雇用管理面で確認したい改正
- 職務内容や成果等を公正に評価し、昇給等に反映するなど、公正な評価に基づく賃金決定
- 待遇差を説明する際の資料・説明方法の充実
- 説明の求めがない場合でも、契約更新時等に説明制度を周知すること等を推奨
- パートタイム・有期雇用労働者の意見を聴く機会の確保
- 通常の労働者への転換制度、転換実績等の明示・公表
- パートタイム・有期雇用労働者の過半数代表者の適正な選出、不利益取扱いの防止、活動への必要な配慮
- パートタイム・有期雇用・派遣労働者の雇用・受入れ状況を整理する
- 正社員との間の基本給、賞与、退職手当、各種手当、休暇、福利厚生等の待遇差を項目ごとに点検する
- 待遇差の理由を、職務内容、配置変更範囲、成果・能力・経験等に基づき説明できるか確認する
- 労働条件通知書・雇用契約書等に、待遇差の内容・理由等の説明を求めることができる旨を追加する
- 待遇差説明のための資料、説明担当者、社内フローを整備する
- 評価制度、賃金制度、正社員転換制度、過半数代表者の選出・運用を確認する
- 派遣元事業主では、雇入れ時・派遣時の明示事項や派遣労働者の待遇決定・説明フローを見直す
改正内容と実務上の対応ポイントについては、別ページ「同一労働同一賃金ガイドライン等の改正への実務対応」で詳しく解説しています。
(改正労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法)
2025年6月11日公布の令和7年法律第63号により、2026年10月1日から、カスタマーハラスメントへの雇用管理上の措置と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置が事業主の義務となります。いずれも企業規模にかかわらず対応が必要です。厚生労働省は、それぞれの指針、通達、リーフレット等を公表しています。
カスタマーハラスメント対策
- 事業主の方針の明確化・労働者への周知
- 相談窓口その他の相談体制の整備
- 事実関係の迅速・正確な確認と被害者への配慮
- 行為者への対応、再発防止、プライバシー保護等
- 業務の性質・顧客対応の実態に応じた対応マニュアル・教育
求職者等セクシュアルハラスメント対策
- 求職者、インターンシップ参加者等に対する性的言動への対応方針の明確化
- 相談に応じ、適切に対応するための体制整備
- 相談があった場合の事実確認、被害者への配慮、再発防止
- 採用担当者・面接担当者・インターン担当者等への周知・教育
- 採用活動、OB・OG訪問、インターン等の接触場面・連絡方法の確認
- カスハラ対応方針、相談窓口、対応マニュアル・フローの整備
- 管理職・顧客対応担当者への研修
- 記録・証拠保全、エスカレーション、警察対応等の整理
- 採用・インターン等で求職者と接する担当者へのルール周知
- 求職者等が利用できる相談先と対応フローの確認
- 採用活動における私的連絡先利用、飲食・面談場所等の運用確認
別ページ「カスタマーハラスメント対策義務化への実務対応」で詳しく解説しています。
(内部通報制度の実効性強化)
2025年6月11日公布の改正公益通報者保護法(令和7年法律第62号)は、2026年12月1日から施行されます。公益通報者の保護強化に加え、公益通報対応体制の周知の明確化、通報妨害・通報者探索の禁止等が盛り込まれています。改正後の法定指針及び指針の解説も公表済みです。
主な改正内容
- 推定規定:公益通報後1年以内の解雇・懲戒は、公益通報を理由とするものと推定
- 刑事罰:公益通報を理由とする解雇・懲戒を行った個人・法人に刑事罰
- 保護対象の拡大:フリーランス等を公益通報者の範囲に追加
- 体制整備・周知:常時使用する労働者が300人を超える事業者では、公益通報対応体制の整備と労働者等への周知が義務(300人以下の事業者は努力義務)
- 通報妨害・通報者探索の禁止:正当な理由のない妨害・探索行為を禁止
- 行政措置の強化:常時使用する労働者が300人を超える事業者について、従事者指定義務違反に対する命令・立入検査、命令違反等への刑事罰を新設
推定規定についての注意
- 常時使用する労働者数を確認し、体制整備義務・努力義務の区分を整理する
- 公益通報対応業務従事者の指定状況を確認する
- 内部通報規程・窓口・対象者の見直し
- 労働者等に対する制度周知の内容・方法
- 通報妨害・通報者探索を防止する社内ルール
- 秘密保持・利益相反管理・アクセス権限
- 通報後1年間の解雇・懲戒について、理由・判断過程・根拠資料を適切に記録できる運用を整える
- フリーランス等を含めた窓口利用対象者を確認する
- 調査フロー、是正措置、再発防止、フォローアップを確認する
- 外部窓口を含む報告ラインと経営層・監査部門への報告方法を整理する
- ハラスメント相談窓口等との役割分担を整理する
改正への具体的な対応ポイントについては、別ページ「公益通報者保護法改正への実務対応」で詳しく解説しています。
(被用者保険適用拡大・在職老齢年金・DC等)
2025年に成立した年金制度改正法等により、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金、企業型DC・iDeCo等について段階的な見直しが行われています。2026年中にも複数の施行・適用変更があるため、人事・給与・社会保険・福利厚生担当者は施行時期を分けて確認する必要があります。
2026年の主な動き
- 2026年4月:在職老齢年金の支給停止基準額を65万円へ引上げ
- 2026年4月:企業型DCのマッチング拠出における加入者掛金制限を撤廃等
- 2026年10月予定:短時間労働者の社会保険適用における月額8.8万円以上の賃金要件を撤廃
- 2026年12月1日予定:iDeCoの加入可能年齢を引上げ
- 2026年12月1日予定:iDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額を引上げ
今後の適用拡大
- 企業規模要件は段階的に縮小され、2027年10月からは36~50人の企業も対象
- その後も2029年、2032年、2035年に段階的拡大予定
- 遺族厚生年金等の見直しは2028年4月施行予定
- 標準報酬月額上限も2027年以降段階的に引上げ
- 短時間労働者の週所定労働時間、賃金、社会保険加入状況を確認する
- 賃金要件撤廃後に新たに加入対象となる可能性のある従業員を洗い出す
- 社会保険料の会社負担・本人負担と従業員説明の方法を整理する
- 高齢者雇用者の賃金設計と在職老齢年金の関係を確認する
- 企業型DC・iDeCo等の規約、拠出設定、従業員向け案内の改訂要否を確認する
- 給与計算システム、人事資料、福利厚生制度への反映時期を整理する
(日本版DBS・児童対象性暴力等防止措置)
こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)は、学校、認可保育所等の義務対象事業者や、一定の民間教育保育等事業者に対し、こどもに接する業務従事者による児童対象性暴力等を防止するための措置を求める制度です。いわゆる「日本版DBS」と呼ばれる性犯罪歴等確認の仕組みを含みます。
主な対応事項
- 対象事業者に該当するかの確認
- 従事者の性犯罪歴等確認の手続整備
- 児童対象性暴力等対処規程の整備
- 従事者向け研修・報告対応ルールの整備
- 確認情報の取扱い・記録管理・アクセス権限の管理
特に影響が大きい業種
- 自社・団体の事業が制度の対象となるか確認する
- こどもに接する業務従事者の範囲を整理する
- 採用時・配置時の確認手続、本人説明、同意取得の方法を検討する
- 性犯罪歴等確認情報の管理責任者、アクセス権限、保存方法を整理する
- 就業規則、誓約書、内定通知書、募集要項等の修正要否を確認する
- 通報・相談・報告対応ルール、保護者・児童向け周知資料の整備を検討する
制度の概要と実務上の対応ポイントについては、別ページ「こども性暴力防止法への対応(2026年12月25日施行)」で詳しく解説しています。
(AI時代のデータ利活用・権利保護・課徴金制度)
「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(令和8年法律第56号)が、2026年7月10日に成立し、同月17日に公布されました。今回の改正は、AI開発等にも関係する一定のデータ利用を円滑にする一方で、子どもの個人情報、顔特徴データ、委託先による個人情報の取扱い等について新たな規律を設け、悪質な違反に対する執行を強化するものです。
企業実務上の主な改正ポイント
- 統計作成等の特例:AI開発等を含み得る一定のデータ利用について、本人同意に関する規律を見直し
- 本人の意思に反しない取扱い等:契約履行に必要な情報提供等に関する同意規律を合理化
- 16歳未満の者・未成年者:法定代理人の関与、利用停止等請求、最善の利益への配慮
- 特定生体個人情報:顔認証等に利用される顔特徴データについて、周知義務等を新設
- 委託先への直接規律:委託業務に必要な範囲を超える利用を禁止
- 漏えい等対応:本人通知・報告手続をリスクに応じて見直し
- 連絡可能個人関連情報・オプトアウト:不正取得等の禁止、提供先確認義務を新設
- 執行の強化:勧告・命令、刑事罰を強化し、課徴金制度を導入
特に影響が大きい業種・事業
- 社内のAI利用・AI学習・データ分析の実態を棚卸しする
- 個人情報・個人データ・個人関連情報の取得、利用、提供、委託の流れを整理する
- 16歳未満の利用者・顧客・生徒・患者等の有無と、年齢確認・保護者対応を確認する
- 顔認証・顔特徴データの利用状況、利用目的、保存期間、表示方法を確認する
- 委託先・再委託先による目的外利用、AI学習、外部サービス利用を確認する
- 漏えい等報告・本人通知、プライバシーポリシー、社内規程等の見直し準備を行う
経済産業省が2026年4月9日に公表した「AI利活用における民事責任の解釈適用に関する手引き〔第1.0版〕」は、AI利用者・開発者・提供者の民事責任を整理するものです。個人情報保護法によるデータ取扱いの規律とは対象が異なりますが、企業のAI利用では両者を併せて確認する必要があります(詳細はセクション3参照)。
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」は2025年1月8日に報告書を取りまとめており、その後は労働政策審議会労働条件分科会で労働基準関係法制の検討が進められています。2026年9月16日の第211回分科会でも「労働基準関係法制」が議題とされています。現時点では法案提出・成立には至っていないため、研究会報告書の論点と、今後実際に法制化される内容を区別して確認する必要があります。
研究会報告書で整理された主な論点
- 時間外・休日労働の上限規制等
- 法定休日・連続勤務に関する規制
- 勤務間インターバル
- 「つながらない権利」
- テレワーク等の柔軟な働き方と労働時間制度
- 週44時間特例措置
- 副業・兼業時の割増賃金・労働時間管理
- 過半数代表者・労使コミュニケーションの在り方
実務上の見方
- 長時間労働、連続勤務、勤務間インターバルの実態を把握する
- 時間外のメール・チャット・電話等の運用実態を確認する
- 副業・兼業の申告制度と労働時間管理を確認する
- 過半数代表者の選出・運用が適切か点検する
- 法制化前に過大なシステム改修や規程改定を先行しない
(特定大規模乗合損害保険代理店への規制強化)
特定大規模乗合損害保険代理店と委託元保険会社の双方に対し、厳格な体制整備が新たに義務付けられました。直接の顧問先に保険代理店・保険会社がいない場合でも、複数の保険会社と取引がある事業会社(通販・不動産・医療等)は間接的な影響を受ける可能性があります。
主な改正内容
- 営業所ごとの「法令等遵守責任者」の配置義務化
- 本店での「統括責任者」の配置義務化
- 内部監査体制の整備義務
- 事業報告書の様式変更(大幅)
- 「過度な便宜供与の禁止」の対象拡大(保険契約者と「密接な関係を有する者」まで)
特に影響が大きい業種
- 自社・委託先が特定大規模乗合損害保険代理店に該当するか確認
- 法令等遵守責任者・統括責任者の配置状況の確認
- 内部監査体制の整備状況の確認
- 便宜供与の対象範囲の確認・社内周知
(電子決済手段・暗号資産仲介業の新設・為替取引の定義明確化)
資金決済法の改正により、「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」が新設されました。また、為替取引の定義が明文化され、これまでグレーゾーンとされていたクロスボーダー収納代行が正式に資金移動業の登録対象となりました。決済・送金・収納代行サービスを利用・提供する企業に広く影響します。
主な改正内容
- 電子決済手段・暗号資産サービス仲介業の新設
- 仲介業者が利用者に損害を与えた場合、原則として委託元(所属業者)が賠償責任を負う
- 「二以上の段階にわたる委託」を伴う国内外の資金移動が為替取引の定義に明記
- クロスボーダー収納代行が原則として資金移動業の登録対象に(一定の適用除外類型を除く)
特に影響が大きい業種
- 海外向け決済・収納代行サービスの利用有無の確認
- 利用中サービスが適用除外類型に該当するかの確認
- 仲介業者を活用している場合の委託元責任の整理
- 契約書・利用規約の見直し
(改正労働施策総合推進法)
改正労働施策総合推進法により、2026年4月1日から、疾病を抱える労働者の治療と就業の両立支援に必要な措置を講ずることが事業主の努力義務となりました。厚生労働省は「治療と就業の両立支援指針」(令和8年厚生労働省告示第28号)を公表しています。
実務上確認したい事項
- 両立支援に関する基本方針・社内ルール
- 労働者からの申出・相談の窓口と担当部署
- 主治医・産業医等から必要な情報を得る手続
- 就業上の措置、休暇・休職・短時間勤務等の制度
- 健康情報・診断書等の個人情報管理
- 上司・人事・産業保健スタッフ間の連携
法的な位置づけ
(荷主・物流事業者の義務)
物流効率化法では、2026年4月1日から、一定規模以上の荷主・物流事業者が「特定事業者」として中長期計画や定期報告等の義務の対象となっています。また、同日施行のトラック適正化二法の一部により、貨物利用運送事業者への書面交付義務等が拡大され、荷主側でも運送契約に関する書面交付義務や違法な白トラ利用への規制を確認する必要があります。物流部門だけでなく、運送を委託する一般の事業会社にも関係する改正です。
荷主企業で確認する事項
- 物流効率化法:特定荷主等の指定基準に該当するか(取扱貨物重量等)
- 特定荷主:中長期計画の作成・提出、定期報告、物流統括管理者(CLO)の選任
- 真荷主:トラック事業者・貨物利用運送事業者との運送契約で、書面交付義務の対象となるか確認
- 荷待ち時間・荷役時間等の把握と改善
- 違法な白トラへの運送委託を防止する発注・確認体制
貨物利用運送事業者等で確認する事項
- 全ての貨物利用運送事業者に課される、真荷主との相互の書面交付・委託先への書面交付義務
- 元請としてトラックを利用する場合の実運送体制管理簿
- 前年度のトラック利用運送量が100万トンを超える場合の運送利用管理規程・運送利用管理者
- 真荷主から引き受けた貨物の委託次数を原則2次までとする努力義務
- 取適法の運送委託規制との重なりの確認
主な参考資料・一次情報源(法令別)
※各資料の詳細・最新情報は各省庁の公表情報を直接ご確認ください。本記事は2026年9月16日時点の情報に基づきます。URLは確認時点のものであり、省庁サイトの改修等により変更される場合があります。
1|中小受託取引適正化法(旧・下請法) 令和7年法律第41号 公布:令和7年5月23日 施行:令和8年1月1日
2|女性活躍推進法改正 令和7年法律第63号(労働施策総合推進法等の一部改正法) 施行:令和8年4月1日
3|経産省「AI利活用における民事責任の解釈適用に関する手引き」 2026年4月9日 確定版公表(経済産業省)
4|労働安全衛生法改正(フリーランス等への安全衛生対策拡大) 令和7年法律第33号 施行:令和8年4月〜10月(段階的)
5|障害者雇用率引き上げ(2.7%) 施行:令和8年7月1日
6|同一労働同一賃金ガイドライン等の改正 改正省令・告示公布:令和8年4月28日 施行・適用:令和8年10月1日
7|カスタマーハラスメント・求職者等セクシュアルハラスメント対策義務化 令和7年法律第63号(労働施策総合推進法等の一部改正法) 公布:令和7年6月11日 施行:令和8年10月1日
8|公益通報者保護法改正 令和7年法律第62号 公布:令和7年6月11日 施行予定:令和8年12月1日
9|社会保険・年金制度改正 令和7年成立 2026年以降段階施行
10|こども性暴力防止法(日本版DBS) 令和6年法律第69号 施行予定:令和8年12月25日
11|2026年改正個人情報保護法 令和8年法律第56号 成立:2026年7月10日 公布:同月17日
12|労働基準関係法制の見直し動向 研究会報告書公表済/労働政策審議会労働条件分科会で審議中
13|保険業法改正 施行:令和8年6月1日
14|資金決済法改正 施行:令和8年6月1日
15|治療と就業の両立支援 令和8年4月1日施行/厚生労働省告示第28号
16|物流効率化法・トラック適正化二法 令和8年4月1日 特定事業者規制・トラック適正化二法の一部施行
共通・横断的な参照先
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