同一労働同一賃金ガイドライン改正(2026年)

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2026年10月施行・適用の同一労働同一賃金ガイドライン改正

―企業が確認すべき待遇・説明・雇用管理―

2026年4月28日、同一労働同一賃金に関する施行規則及び複数の指針が改正されました。今回の改正では、最高裁判決等を踏まえ、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季・冬季休暇、褒賞などについて、ガイドラインの記載が追加・充実されています。

あわせて、雇入れ時の労働条件明示、福利厚生施設、正社員転換、待遇差の説明方法、無期雇用フルタイム労働者、派遣労働者に関する取扱いも見直されています。企業では、2026年10月1日に向けて、賃金・手当・休暇だけでなく、説明資料や雇用管理の運用まで含めて点検する必要があります。

本記事の位置づけ
本記事は2026年8月7日時点の情報に基づいています。改正省令・告示は公布済みですが、2026年10月1日の施行・適用前です。また、今回、パートタイム・有期雇用労働法第8条・第9条そのものが改正されたわけではありません。ガイドラインの改正と法律改正を区別して解説します。
この記事で分かること
  • 2026年改正で何が変わるのか
  • 賞与、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、休暇等をどのように点検すべきか
  • 正社員人材確保・定着、労使協議、定年後再雇用などをどのように考慮するのか
  • 無期雇用フルタイム労働者・無期転換者への影響
  • 2026年10月1日までに企業が準備しておきたい実務対応
関連ページ:
同一労働同一賃金ガイドラインの全体像、均衡待遇・均等待遇の考え方、待遇差の判断基準、自社制度の点検方法については、 同一労働同一賃金ガイドラインとは―企業が押さえる判断基準と実務対応 をご参照ください。
2026年の企業関連法改正全体については、 2026年企業関連法改正レポート もご参照ください。

1 今回の改正の概要

この章のポイント: 今回の中心は、法律そのものの大幅改正ではなく、省令・告示・ガイドライン等の改正です。

同一労働同一賃金の制度は、同一企業・団体における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消し、雇用形態にかかわらず納得して働くことのできる環境を整備することを目指しています。

制度の施行から5年が経過したことを踏まえ、労働政策審議会で制度の運用状況や裁判例等が検討されました。その結果、2026年4月28日に改正省令・告示が公布され、同年10月1日から施行・適用されます。

分野 主な改正内容 位置付け
労働条件の明示 待遇差の内容・理由について説明を求めることができる旨を明示事項に追加 施行規則による法定明示事項
同一労働同一賃金ガイドライン 裁判例を踏まえた待遇項目、具体例、留意事項を追加・整理 法第8条・第9条等に関する指針
雇用管理指針 福利厚生施設、正社員転換、説明方法等を充実 雇用管理に関する指針
無期雇用フルタイム労働者 労働契約法上の均衡への配慮とガイドラインの趣旨との関係を明記 パートタイム・有期雇用労働法第8条の直接適用対象外
派遣労働者 説明に関する明示、評価、キャリア形成、労使協定の運用等を改正 労働者派遣法施行規則・関係指針等

今回、パートタイム・有期雇用労働法第8条・第9条そのものが改正されたわけではありません。したがって、従来からの「均衡待遇」「均等待遇」という判断枠組みを前提に、裁判例や実務上の論点をガイドライン等へ反映し、判断の考え方をより具体化した改正と理解するのが適切です。

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2 均衡待遇と均等待遇の基本

この章のポイント: 待遇差は賃金総額だけでなく、基本給、賞与、手当、休暇、福利厚生など個々の待遇ごとに検討します。
区分 根拠条文 基本的な内容
均衡待遇 パートタイム・有期雇用労働法第8条 個々の待遇について、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情のうち、その待遇の性質・目的に照らして適切な事情を考慮し、不合理な相違を設けてはならない。
均等待遇 同法第9条 職務内容と職務内容・配置の変更範囲が通常の労働者と同一である場合、短時間・有期雇用労働者であることを理由に差別的な取扱いをしてはならない。

「職務内容」には、業務の内容だけでなく責任の程度も含まれます。また、職務内容等に違いがある場合でも、その違いがあることだけで待遇差が当然に認められるわけではありません。その違いに応じた均衡のとれた待遇となっているかを確認する必要があります。

賃金総額だけで判断しない

基本給の差は基本給の性質・目的に照らし、住宅手当の差は住宅手当の性質・目的に照らすというように、「待遇のそれぞれ」について検討することが基本です。

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3 ガイドラインの読み方―「原則」「具体例」「留意事項」を区別する

この章のポイント: ガイドラインのすべての記載が同じ意味を持つわけではありません。

改正ガイドラインには、「原則となる考え方」「具体例」「留意すべき事項」が記載されています。

  • 原則となる考え方・具体例:どのような待遇差が不合理と認められるか等について直接的に示すもの
  • 留意すべき事項:不合理な待遇差の解消等の取組を進める際に注意すべき事項を示すもの

もっとも、「留意すべき事項」に記載された事情が待遇の性質・目的に関係するにもかかわらず、それを全く考慮せずに待遇を決めた場合には、そのことが待遇差を不合理と判断する方向の事情となる可能性があります。

ガイドラインの例を機械的に当てはめない

企業ごとに、待遇の性質・目的、職務内容、責任、配置変更範囲、継続勤務の見込み、労使交渉・説明の経緯等を確認する必要があります。

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4 追加・充実された主な待遇項目

この章のポイント: 今回新たに追加された待遇は、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季・冬季休暇、褒賞の6項目です。賞与及び病気休職・病気休暇についても記載が充実しました。

⑴ 賞与

賞与には、労務の対価の後払い、業績配分、功労報償、勤務意欲の向上、人材の確保・定着など、複数の性質・目的が含まれることがあります。

したがって、正社員に賞与を支給し、短時間・有期雇用労働者に支給していないという事実だけで、直ちに適法又は違法と判断することはできません。

  • 就業規則・賃金規程上の支給目的
  • 実際の支給額の決定基準
  • 業績、勤務成績、勤続年数等の反映方法
  • 職務内容・責任・配置変更範囲の違い
  • 正社員登用制度等の運用

大阪医科薬科大学事件・最高裁第三小法廷2020年10月13日判決では、賞与の性質・目的、職務内容・配置変更範囲の相違、登用制度等が考慮され、当該事案では賞与不支給が不合理とは認められませんでした。ただし、この結論を他社の制度にそのまま当てはめることはできません。

⑵ 退職手当

退職手当には、賃金の後払い、長期勤続に対する功労報償、退職後の生活保障、人材の確保・定着など、複合的な性質があり得ます。

メトロコマース事件・最高裁第三小法廷2020年10月13日判決では、退職金の性質・目的、職務内容・配置変更範囲の相違、正社員登用制度、組織再編等を考慮し、当該事案における退職金不支給は不合理とは認められませんでした。

「有期雇用だから退職金は不要」と形式的に結論付けるのではなく、自社の退職手当が何を目的とし、その目的が短時間・有期雇用労働者にもどの程度当てはまるかを確認する必要があります。

⑶ 無事故手当

改正ガイドラインでは、通常の労働者と業務内容が同一である短時間・有期雇用労働者について、同一の無事故手当を支給するという原則となる考え方が示されています。

ハマキョウレックス事件・最高裁第二小法廷2018年6月1日判決では、無事故手当など複数の手当について待遇差が検討されました。無事故手当が安全に業務を遂行したことを評価する目的であれば、同じ業務を行う労働者について雇用形態だけを理由に不支給とすることが、その目的と整合するかを確認する必要があります。

⑷ 家族手当

改正ガイドラインでは、労働契約の更新を繰り返しているなど、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者について、通常の労働者と同一の家族手当を支給するという原則となる考え方が示されています。

「相応に継続的な勤務」が見込まれるかについて、一律の勤続年数基準は示されていません。契約期間、更新回数、他の有期雇用労働者の更新状況等を踏まえて判断します。

また、配偶者の収入要件がある配偶者手当については、就業調整の要因となっているとの指摘を踏まえ、労使の話合いにより、働き方に中立的な制度への見直しを進めることが望ましいとされています。

⑸ 住宅手当

住宅手当が、転居を伴う配置変更による住宅費負担を考慮して支給される制度である場合には、実際の配置変更範囲との関係が重要になります。

  • 就業規則上、転居を伴う異動が予定されているか
  • 実際に転居を伴う異動が行われているか
  • 住宅手当の支給要件が住宅費負担や配置変更とどう結び付いているか
  • 正社員と短時間・有期雇用労働者の配置変更範囲にどのような違いがあるか

ハマキョウレックス事件では、住宅手当について、正社員には広域転勤の可能性があることなどが考慮され、当該事案では待遇差が不合理とは認められませんでした。

⑹ 病気休職・病気休暇中の給与保障

病気休職・病気休暇には、療養への専念、生活保障、継続雇用の確保などの目的が考えられます。

改正ガイドラインでは、通常の労働者に病気休職期間中の給与保障を行っている場合、労働契約の更新を繰り返しているなど相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者についても、その目的が妥当するかを踏まえた対応が求められます。

大阪医科薬科大学事件では私傷病欠勤中の賃金差が不合理とは認められなかった一方、日本郵便事件では、有給の病気休暇を正社員にのみ付与する待遇差が不合理と判断された事案があります。同じ「病気休暇」という名称でも、制度の性質・目的、期間、継続勤務の見込み等によって結論が異なり得ます。

⑺ 夏季・冬季休暇

改正ガイドラインでは、夏季・冬季休暇について、短時間・有期雇用労働者にも通常の労働者と同一の休暇を付与するという原則となる考え方が示されています。

日本郵便事件では、労働から離れる機会を与え、心身の回復を図るという休暇の目的が、継続的に勤務する契約社員にも妥当するとして、待遇差が不合理と判断された事案があります。

⑻ 褒賞

一定期間勤続した労働者に対して金品や休暇等を付与する勤続褒賞についても、今回新たに記載が設けられました。褒賞の目的が一定期間の勤続に対する功労報償である場合には、同じ期間勤続した短時間・有期雇用労働者を対象外とする理由を確認する必要があります。

この項目は、最高裁判決ではなく、メトロコマース事件の東京高等裁判所2019年2月20日判決を踏まえて追加されたものです。

「同一」の支給・付与について

改正ガイドラインに「同一」と記載されていても、所定労働時間が短い労働者に常に全く同額・同日数を機械的に適用するという意味ではありません。待遇の性質・目的が所定労働時間の長短にかかわらず妥当するか等を具体的に検討する必要があります。

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5 待遇差を判断する際の重要点

この章のポイント: 抽象的な「正社員だから」という説明だけではなく、客観的・具体的な実態を整理することが重要です。

⑴ 抽象的な将来の役割期待だけでは足りない

「正社員には将来の役割を期待している」「正社員は会社の中核人材である」といった抽象的な説明だけでは、待遇差の説明として十分とは限りません。

賃金の決定基準・ルールに違いを設ける場合には、職務内容、能力、責任、配置変更範囲等の客観的・具体的な実態に基づいて説明できるようにしておく必要があります。

なお、この考え方は今回初めて導入されたものではなく、改正前の基本給に関する記載を待遇全般に関する事項として移設し、適用範囲を明確にしたものです。

⑵ 正社員人材確保・定着という目的だけで結論は決まらない

賞与や退職手当等について、正社員としての職務を遂行できる人材の確保・定着という目的が含まれること自体は否定されていません。

しかし、その目的があることだけで待遇差が当然に不合理ではないことになるわけでもありません。当該待遇の他の性質・目的と、職務内容等の客観的・具体的な実態を踏まえて判断する必要があります。

⑶ 説明や労使協議の経緯も「その他の事情」となり得る

事業主が待遇差の内容・理由について十分な説明をしなかった場合や、短時間・有期雇用労働者の意向を十分に考慮せず、一方的に待遇を決定した場合には、その事実が「その他の事情」として考慮され、待遇差が不合理であることを基礎付ける方向の事情となる可能性があります。

もっとも、説明が不十分であったことだけで、直ちに待遇差が違法となったり、損害賠償責任が生じたりするわけではありません。

⑷ 正社員の待遇引下げは別の法的検討が必要

正社員の待遇を引き下げて待遇差を縮小する方法が、法律上全面的に禁止されたわけではありません。しかし、改正ガイドラインでは、同一労働同一賃金の制度趣旨からみて、基本的に望ましいとはいえないことが明確化されています。

また、就業規則を変更して正社員の労働条件を不利益に変更する場合には、労働契約法第9条・第10条に基づく検討が必要です。

企業で記録しておきたい事項
  • 各待遇の制度目的と決定理由
  • 労使協議で検討された事項
  • 労働者から出された意見と対応
  • 労働者に行った説明の内容
  • 説明に使用した資料
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6 定年後再雇用者への影響

この章のポイント: 定年後再雇用であることは「その他の事情」となり得ますが、それだけで待遇差が正当化されるわけではありません。

定年後に有期雇用で再雇用された労働者であることは、待遇差を判断する際の「その他の事情」として考慮される場合があります。

もっとも、どの程度考慮されるかは待遇の性質・目的によって異なります。長澤運輸事件・最高裁第二小法廷2018年6月1日判決では、定年後再雇用であること等が考慮される一方、皆勤を奨励する目的の精勤手当については、正社員と再雇用者でその必要性に違いがないとして不支給が不合理と判断されました。

名古屋自動車学校事件・最高裁第一小法廷2023年7月20日判決でも、基本給・賞与について、その性質・目的と労使交渉の具体的経緯を十分に検討する必要があることが示されています。

「定年前の○%なら問題ない」という一般的な安全基準はありません

再雇用後の職務、責任、役職、配置変更範囲、基本給の構成・目的、賞与・一時金の目的、労使交渉の内容等を具体的に確認する必要があります。

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7 無期雇用フルタイム労働者・無期転換者への影響

この章のポイント: 無期雇用フルタイム労働者は法第8条の直接適用対象外ですが、労働契約法上の均衡への配慮との関係が明記されました。

所定労働時間が通常の労働者と同じで、期間の定めのない労働契約を締結している無期雇用フルタイム労働者は、パートタイム・有期雇用労働法第8条の直接の適用対象ではありません。

もっとも、労働契約法第3条第2項は、労働契約について就業の実態に応じて均衡を考慮することを定めています。改正ガイドラインでは、この均衡を考慮する際に、同一労働同一賃金ガイドラインの趣旨も考慮すべきことが示されました。

また、有期労働契約から無期労働契約へ転換する労働者については、転換前に通常の労働者との間に不合理な待遇差がないかを点検し、そのような相違がある場合には転換前に確実に解消することが求められています。

実務上の確認

「無期転換後は法第8条の対象外になるから、そのままでよい」と考えるのではなく、無期転換前の段階で不合理な待遇差が残っていないかを確認することが重要です。

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8 雇入れ時の労働条件明示

この章のポイント: 2026年10月1日から、雇入れ時の明示事項に「待遇差について説明を求めることができる旨」が追加されます。

2026年10月1日以降、新たにパートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたときは、労働条件通知書等に、パートタイム・有期雇用労働法第14条第2項の規定による説明を求めることができる旨を明示する必要があります。

待遇差の内容・理由について労働者から求めがあった場合に説明する義務自体は、従前から同法第14条第2項に定められています。今回新たに追加されるのは、雇入れ時に「説明を求めることができる旨」を明示することです。

見直し対象
  • 労働条件通知書
  • 雇用契約書
  • 採用時の説明資料
  • 電子交付システム
  • 待遇差について説明を行う担当部署・窓口

厚生労働省は、この改正に対応したモデル労働条件通知書を公表しています。

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9 福利厚生施設・正社員転換・説明方法

この章のポイント: 同一労働同一賃金ガイドラインだけでなく、雇用管理指針の改正も確認する必要があります。

⑴ 福利厚生施設

パートタイム・有期雇用労働法第12条では、通常の労働者に利用機会を与える場合、次の3施設について、短時間・有期雇用労働者にも利用機会を与えることが義務付けられています。

  • 給食施設
  • 休憩室
  • 更衣室

これ以外の福利厚生施設については、同法第12条による同一利用機会の直接の義務ではありません。もっとも、利用料金・割引率等に不合理な相違を設けてはならないという同法第8条の問題となるほか、改正後の雇用管理指針では、一定の施設について利用上の便宜を図るよう配慮することが求められます。

⑵ 正社員転換

パートタイム・有期雇用労働法第13条では、通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずることが事業主に義務付けられています。

改正後の雇用管理指針では、正社員転換制度を設けるとともに複数の措置を講ずることが望ましいとされ、面談や電子メール等を活用して短時間・有期雇用労働者の意向を確認し、その意向に配慮することも求められています。

⑶ 待遇差の説明方法

待遇差について説明する場合には、資料を活用しながら口頭で説明する方法、又は説明すべき事項をすべて記載した労働者が容易に理解できる資料を交付する方法が示されています。

資料を用いて口頭で説明した場合には、その資料を交付することが望ましいとされています。企業では、説明内容を担当者ごとにばらつかせないためにも、比較表や説明資料をあらかじめ整備しておくことが有用です。

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10 派遣労働者に関する主な改正

この章のポイント: 派遣元だけでなく、派遣先企業にも関係する改正があります。

派遣元事業主は、次の時点で、待遇差の内容・理由等について説明を求めることができる旨を明示する必要があります。

  • 労働者を派遣労働者として雇い入れようとするとき
  • 労働者派遣をしようとするとき

また、関係指針等では、次のような対応が示されています。

  • 派遣先に協力を求めて業務遂行状況を把握する
  • 適切な時期に評価を行う
  • 派遣労働者の希望に応じて評価結果をフィードバックする
  • キャリアコンサルティングを受けることを勧奨する
  • 希望に応じて教育訓練や就業機会の提供を行う
  • 労使協定方式では協定内容を遵守し、公正な評価を実施する
  • 派遣先が情報提供や福利厚生施設の利用等に協力する
  • 派遣料金について、派遣労働者の待遇改善を考慮した交渉を行う
派遣関係は別途の詳細点検が必要です
派遣労働者関係の改正は項目が多く、派遣元・派遣先、派遣先均等・均衡方式・労使協定方式で確認事項が異なります。派遣労働者を多数受け入れ、又は派遣する企業では、パート・有期雇用労働者とは別に詳細な点検を行うことが望まれます。
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11 企業が2026年10月1日までに確認すべき事項

この章のポイント: 規程だけでなく、実際の運用、説明資料、労使協議の記録まで確認します。
点検項目 主な担当部署 確認する資料・事項
労働条件通知書の改訂 人事・労務 労働条件通知書、雇用契約書、採用システム
雇用区分の整理 人事・労務、法務 就業規則、雇用区分規程、職務分掌
待遇項目の一覧化 人事・経理 賃金規程、退職金規程、休暇規程、福利厚生規程
各待遇の性質・目的 人事・法務 規程、制度導入資料、過去の説明資料
職務内容・責任の比較 人事、各事業部 職務記述書、組織図、権限規程、実際の業務
配置変更範囲 人事 就業規則、転勤実績、異動記録
継続勤務の見込み 人事 契約期間、更新回数、更新実績
説明・労使協議 人事・法務 議事録、意見聴取記録、説明資料
福利厚生施設 総務・人事 施設利用規程、利用料金、割引率、利用実態
正社員転換 人事 転換規程、募集要項、転換実績、意向確認方法
定年後再雇用 人事・法務 再雇用規程、賃金設計資料、交渉記録
無期転換者 人事 無期転換規程、転換前後の労働条件
派遣労働者 人事・調達・各事業部 派遣契約、労使協定、評価・情報提供の手続
規程上の違いだけでなく、実態を確認する

例えば、就業規則上は正社員に全国転勤の可能性があるものの、実際には特定職種で転勤がほとんど行われていない場合、規程上の相違だけで待遇差を説明できるとは限りません。

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12 よくある誤解

この章のポイント: 今回の改正を「一律同額化」や「新しい法律による全面的な義務化」と理解するのは適切ではありません。

「同じ仕事なら、すべての待遇を同額にしなければならない」

職務内容が同じというだけで、すべての待遇が当然に同額となるわけではありません。均等待遇では、職務内容だけでなく、職務内容・配置の変更範囲も確認します。均衡待遇では、個々の待遇の性質・目的に応じた事情を検討します。

「ガイドラインに追加された待遇は、すべて同一支給が一律に義務化された」

ガイドラインには「同一」の支給・付与を求める記載がありますが、それぞれ一定の前提があります。短時間労働者について常に正社員と全く同じ金額・日数を機械的に適用することを意味するものでもありません。

「説明しておけば待遇差は認められる」

説明や労使協議の経緯は重要ですが、説明をしたという事実だけで待遇差が合理化されるわけではありません。待遇差自体が、その待遇の性質・目的及び職務内容等に照らして不合理でないかを検討する必要があります。

「正社員の待遇を引き下げれば問題は解決する」

正社員の待遇引下げは、労働条件の不利益変更の問題を生じさせます。同一労働同一賃金への対応という目的だけで、就業規則の不利益変更が当然に有効となるわけではありません。

「定年後再雇用者であれば、大幅な賃下げも問題にならない」

定年後再雇用であることは考慮事情となり得ますが、それだけで結論は決まりません。個々の待遇の性質・目的と、再雇用前後の職務、責任、配置変更範囲等を確認する必要があります。

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13 まとめ

この章のポイント: 2026年改正への対応では、待遇の名称ではなく、制度目的と実際の雇用管理を結び付けて点検することが重要です。

2026年の同一労働同一賃金ガイドライン改正では、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季・冬季休暇、褒賞等について、裁判例を踏まえた原則となる考え方や具体例が追加・充実されました。

重要なのは、ガイドラインに記載された結論を形式的に当てはめることではありません。企業ごとに、個々の待遇が何のために設けられているのか、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の職務、責任、配置変更範囲等にどのような違いがあるのか、その違いが待遇の性質・目的とどのように関係するのかを確認する必要があります。

また、制度の内容だけでなく、労働者への説明、意見の聴取、労使協議の経緯、説明資料・記録の保存も重要です。2026年10月1日の施行・適用に向けて、労働条件通知書、賃金制度、福利厚生、休暇制度、正社員転換、定年後再雇用、無期転換、派遣労働者への対応まで含め、社内制度を総合的に点検することが望まれます。

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主な参考資料

主な確認資料
令和8年厚生労働省令第87号、令和8年厚生労働省告示第202号・第203号、 「同一労働同一賃金ガイドライン及び雇用管理指針に関するQ&A(令和8年改正)」、 「改正省令及び告示の周知に係るQ&A」、 2026年6月29日付施行通達等を参照しています。
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免責事項

本記事は、企業の経営者、法務・人事・総務その他の実務担当者に向けた一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。

法令、政省令、指針、通達、Q&A等は変更・更新される可能性があります。具体的な対応にあたっては、最新の公式資料を確認してください。